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ハウスウェルネスフーズのお題「甘酸っぱい思い出のエピソード」
中学生の頃、好きな人がいた。
引っ込み思案な私は、好きな人がいると誰にも言えなかったけど、ある友達には言えた。
クラスでうまく馴染めなくて、クラスの人達から無視されるようなこともあって、うまくいかないなーとヘコむ毎日だった。
そのとき、席が近い子が話しかけてきた。
私と同じようにクラスから少し浮いてる子だった。
同じニオイがして、すぐ仲良くなった。
浮いてるっていう共通点があったけど、すごくかわいい子だった。
私となんか話していいのかなって思ってたけど、友達らしい友達がいなかった私は、ものすごく嬉しかった。
毎日楽しくなかった学校が少し楽しくなった。毎日楽しいって思えた。
そんな友達が出来て、バレンタインが近づいてきた。
中学生にはドキドキものの行事。
「好きな人いるの?」
そう聞かれて初めて、いると答えた。
あの人!?と驚かれるほどの冴えない人が好きだった。朴訥としてる感じが良かった。
「じゃあその人に渡してあげる」
!?
なんていう人だ。
クラスで浮いてる私がチョコを渡してもいいの?
そんな事したら、その人にまで無視が移ってしまうんじゃないかと思った。
浮いてる私が好きな人、としていじめの対象になるんじゃないか、と。
でもそんな事よりも好きな人に渡せる、という嬉しさが勝ち、ドキドキしながらチョコを買い、自分でラッピングした。
学校はチョコとかお菓子は持ち込み禁止だったから、ものすごくドキドキした。
悪い事をしているような気持ちと、好きな人に渡せる気持ちが入り混じった。
廊下で友達にチョコを渡し、友達が彼に持っていった。
その後の反応は何もなかった。
特に返事が来る訳もなく、私から彼に話しかけることもなく、それで終わった。
翌月のお返しもなかった。
それだけの事だったんだとキリをつけた。
そりゃそうか、浮いてる冴えない子に渡されても困るよね。
「返事ないね」
友達が言ってた。
私は「ははは…」と苦笑いした。
スルーされたのは悲しかったけど、友達の優しさがとにかく嬉しかった。
一人じゃないってことの安心感と、私に対して優しくしてくれたことが嬉しかった。
私から渡したらいじめになってたかもしれないな。
この子が渡したからスルーで済んだのかもしれない。
ありがと。渡しただけでも嬉しかった。
その友達、元気かな。
同級会にはあまり行きたくないけど、この子にだけでも会いたいね。
また世間話して笑いたい。
って恋愛から友達話になっちゃった。甘酸っぱいのかな。
恋愛で淡い思い出はこれっきりだなぁ。