声がカスカス

風邪をひいた。
喉が痛くて声が出にくい。
出そうとしてもカスカス声で聞き取りづらい。
こんなんじゃ喋らない方がいいなあ。
いっそ、喋らずに生きていけたら楽なのに。
仕事で電話をしようにも相手に申し訳なくなって、喋るのやめようかなと思ってしまう。

小学生の頃を思い出す。

小学生の頃、喋るのが怖くて誰とも会話していなかった。
家族以外に話しかけるのにとても勇気がいった。
無視されたらどうしよう。
友達じゃないのに話しかけたら無視されるんじゃないか。
怖くてできなかった。
勇気を出して「おはよう」と言ってもそのあとが続かない。
会話が思いつかない。
頭の中が真っ白になって、何も浮かばない。
声も喉に詰まって出てこない。
私、会話が下手くそなんだ。
だったら誰とも喋らなくていいや。
その方が気楽だし。
と開き直って誰とも喋らない生活になった。
夏休みが終わっても学年が上がっても、誰とも喋らなかった。
話さない奴と見られるのが楽だった。
けど寂しかった。
友達はいないし、クラスで浮いてるし。
学校に行く楽しみって何だったっけなあ。

身振り手振りでなんとかやってたけど、その頃を思い出す。
念じていれば伝わると思っていた。
甘かったなあ。
そんなんじゃ伝わらないんだけどね。
分かってるんだよ、そんなことは…。
誤解されるし、否定したくてもうまく喋れないし。
もどかしかった。

懐かしいなあ。
年末に風邪をひくといいことないわ。